長男が小学校の時、少年野球のチームに所属していた。
いろいろと問題があって、週末になると元気がなくなったり、
行きたくないと言い出すようになった時があった。
毎週末、一緒にグランドへ行っていた私たち親は、
彼がそうなってしまう状況もわからなくもなかった。
身体も小さく、気も優しい彼にはガツガツした感じが
合わなかったのだろうな、と今となってはわかる。
ある日、パパは熱心に子供と野球チームにも関わってきたのに、
「別に無理することないよ。野球だけじゃないし。
やめて他のことをやってみてもいいよ。」
と長男に話した。
すると長男は泣きながら「もうこれを着なくていいんだ!」と、
ユニフォームを脱ぎ捨てた。
その姿が私は忘れられない。
そんなにも苦しい思いをしながら野球をしていたのか。
好きでやっていると思っていたけれど、やらせていたんだな。
長男に対して申し訳ない気持ちが湧いた。
それでも根性論で育ってきた私は
「ここでやめちゃうの?悔しくないの?見返してやろうよ!」
と彼の尻を叩いた。
一方で、そんな風に追い込んだ相手が憎たらしかったし、
そんな状況でもいつかあの人を見返して欲しいと思っていた。
更に途中で逃げ出すことを教えたパパにも怒りを感じもした。
1ヶ月ほど休む間に仲間から「一緒に頑張ろうよ。」と連絡をもらい、
元々野球は好きだった長男は結局のところ、チームに戻った。
憎かった相手も非を認めて、態度を改めてくれたので、
終わりよければすべてよしで卒団することができた。
その後、中学でも野球部に入り、がんばっていた。
途中でなんでも投げ出す子になってしまうのではないかという思いもあって、
私は辞めることをさせようとしなかったけれど、
長男はやろうと思ったことは、誰よりもコツコツと努力する子に育った。
それは尊敬に値するくらいコツコツやる。
別にあそこで辞めていたとしても、
好きなことであれば続けていく子だったのだと思う。
この体験はいろんなことを私に学ばせてくれた。
心が苦しくなるほどやり続けなくちゃいけないってわけでもない。
自分の気持ちに正直になることが何よりも大切なんだということ。
親の思いを子供に押し付けてはいけないということ。
好きなこと、やりたいと思うことならやれるのだということ。
全てにおいて”こうでなきゃいけない”ってことはないのだ。
『〜であるべき』が強い方、それは本当にあなたの思いですか?
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